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ダンサーの心 4
第四話/IMI

「いや、ホントですよね!!」
と言ったあと、少し間があってからKAPPA君はこう言った。

「でも、今回はかなり凹みました。こんなに動けないことが辛いとは思いませんでした。こんなことになるなんて....。」

僕は、これ以上聞いたらネガティブオーラにKAPPA君が浸食されると思い、すぐに割って入った。
「でもさ~、そりゃ普通凹むよね~。でも、KAPPA君は強いと思うよ!ちゃんと切り替えてるもん!実際、足は痛むよね~。よく頑張ってるよ!」

KAPPA君は真剣な口調で「怪我も辛いんですが、ダンスやっていてこんなにたくさんの人に迷惑かけたの初めてだと思うんです...。仕事先の人達は怪我だから仕方ないと言ってくれますが、自分では割り切れません。ホントに申し訳なくて...。」

僕は「.....KAPPA君ならそう思うよね。ぶっちゃけて言ってくれてるだけで嬉しいよ。」とだけ言った。

KAPPA君とは長い付き合いだが、自分から「負の気持ち」をはっきりと出したことは無い。
(僕らとしては実は淋しいが...)とくに年上のダンサーにはまず出さない。
周りにも、自分にも「負けない」という気持ちを、常に自分で確認しながら生きている感じがある。僕から見てこれはKAPPA君の繊細な面でもあり、強さに繋がっている面でもある。でも、辛さを抑えられていないKAPPA君の言葉は、僕にとっては衝撃的だった。でも、本当に話してくれた嬉しさもあり、複雑な感じだった。

この後のKAPPA君の言葉は、口調や声の大きさまではっきりと覚えていて、思い出すと胸が苦しくなる...。
「なんで僕がこんな怪我しなきゃいけないんだろう?それも、なんで今なんだろう?何か悪いことしたかな~?...って泣きましたもんね...。好きなダンスで...苦しくて涙流すことなんてそんなに無いですし、とにかく辛かったです。」

僕は胸の痛みを感じながらも、『過去形』なことを聞き逃さなかった。
だから、本音を話した。
「乗り越えるしか無いよ。乗り越えれば全てが意味のあることになるよ!」

「ANNちゃんからもSATOSHIさんと似たことを言われました。『その怪我を「今」したことには絶対に意味があるんだよ。乗り越えたときにすごい成長するから!だから絶対に乗り越えないとダメだよ!』みたいに言ってくれました。」

僕はこの瞬間、電話越しで涙をこらえることに必死だった。

「ANNちゃんにこう言われると、スゴい説得力ですよね...。」
多分、KAPPA君も涙をこらえていた。

「そうだね」と、僕は答えながら意識は半年程前の記憶に飛んでいた。

続く
[2010/09/26 04:10 ] | MESSAGE
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