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SATOSHI CHRONICLE #2 扉
[第三話]

シンと別れてから数ヶ月が過ぎた...。

僕はその頃からダンスが仕事だったので、

毎日踊る度にシンを思い出すのが苦痛だった。

仕事以外では出来るだけ踊らないようにした。

音楽も聴きたくなかった。

あれほど

「あいつの分までダンスを楽しもう」

と思ったのに...。




その気持ちを取り戻すきっかけは、

僕のレッスンで楽しそうに踊る生徒達

(当時はKIDSはやっていなかった)のお陰でだった。

ダンスは、いつもシンプルで、自由で、楽しい。



リーダーとして僕が最初に動きださないとダメだ!

そう思って練習の再開をみんなに伝えた。

当時僕らは、久屋大通にあったスタジオをレンタルして夜練習していた。

「あのスタジオの扉を今まで通り明るく開けて、
みんなで練習を再開しとき、ようやくシンもまたダンスを再開できるはず!」
と自分に言い聞かせるように...
でも、本当にそう信じていた。



そして、練習再開の日。

あの扉を開けたときの感覚は僕にとって忘れられないものになった。

みんなと練習を再開したことは、かなりの勇気が必要だったが、

僕の人生にとってあの決断はとても意味のあるものだった。

みんな乗り越えてなんかいなかったし、やりきれない思いのままだっただろう。

それでもやはりあれで良かったと思う。

練習中、壁にもたれてみんなを見ているいつものシンが

何度も見えた気がするが、それが気のせいだったとしても、

あのままみんながダンスから逃げるように

時間を止めていてはいけなかったと思う。

あれから更に月日が流れて11年。

家庭を持ったり、就職したりと、

もうダンスをしていないメンバーも多くなってきた。

今だから思うのかもしれないが、

「シンの為にダンスを続ける」「シンの分まで楽しむ」

若いうちはこう思うのが自然だ。

でも、何もそこまで力む事もないと今は思う。

現役を引退しているメンバーに今でも仲間だと言えるし、

仮にシンが生きていたとして、シンがダンスを辞めていても、

同じように仲間だと言えるだろう。

ダンスを続ける理由が、死んだ仲間の為だとか、お陰だとかなんて

大袈裟に構える事はないと思う。

...なんて、強がってはみたが、シンのお陰でたくさん学ぶこともあった。

これから楽しみたいと思っても、突然もうこの世で楽しめなくなることもある。

好きなことを思い切りやれない人なんて、世の中にはたくさんいる。

人の命の分まで背負い込む事はないけど、

せめて自分の命は思い切り背負い込んで、

思い切り大切にしてあげよう。

『自分の好きなことを思い切りやる。』

これこそ、残された者が天国に向けてできる最高の供養になるんじゃないかな?




このBLOGをシンが読んだら

「SATOSHIさん、相変わらず自己満ですね(笑)」

と茶化されるだろうな...。




[2011/12/29 05:00 ] | CHRONICLE
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