第十一話『作戦』
二回戦のエピソードを語る前に、僕たちの決勝での作戦を書いておこう。
<一回戦は、とにかく観客を盛り上げて、自分達も楽しく踊ろう!それが出来る作品にしよう。格上の相手なんだから、変わり種で責めずに直球勝負!!一回戦が最大の難所と言えるが、思い切りぶつかろう!>
<二回戦は、もし『密林』(※1参照)が勝ち上がり、自分たちと戦うことになったら、 スキルは向こうの方が高いから、ベーシックなBREAKIN'では太刀打ちできない。 『イカスタシー』(※2参照)が勝ち上がってきた場合、グルーブ感やダンス力の勝負にならないようにしたい。 どちらのチームと闘うことになろうと、ベーシックなブレイキンは避けるべき。世界観や表現力のある作品で、インパクトを与えよう。ある意味、自分達が一番オリジナリティを出せるパフォーマンスをしよう。>
<三回戦は、誰がくるかの予想は立てられないから、自分たちが一番やってみたいことをやろう!相手に対して作品を考えるのではなく、自分たちの挑戦をしよう!!>
と、いうものだった。
(※1)密林 (みつりん) スキルもあって、構成力も高いBREAKIN'チーム。メンバーにASKA君も所属していた。 当時、僕らの中では、密林にスゲー上手いASKAとかいう「中学生」がいる。と、警戒していた。 ただ、ASKA君は、当時大学生。 うちらも馬鹿だが、どんだけベビーフェイスやねん!!
(※2)イカスタシー 女の子三人のヒップホップチーム。ダイナマイトのジャッジでもあるKOU君の生徒で、抜群のノリと、ボディーコントロールが魅力のチーム。 KAZUMAもKOU君から教えてもらっていたから、彼女達の上手さやセンスはよく聞かされていた。
勝ったチームとMOVERSが対戦することになる。
勝ったのは…。
続
|