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SATOSHI CHRONICLE #1 Dance Dynamite2000
第七話『くだらないこと』

曲作りも練習も見た目には順調に見えた。
ただ、ダンサーと言うのは、基本的にダンスが大好きだ!
当然か♪(´ε` )
作品作りよりも、個人練習が優先になる。
うちのチームは、特に自分のスキルアップの練習が大好きなやつらの集まりだった。
僕もチームメイトのスキルアップにはパワーをもらったし、ダンスに真っ直ぐな彼らといるのはとても居心地がよかった。

くだらないバカな話題で盛り上がったり、ふざけた動きで笑いを誘ったり、僕らにとってダンスもチームも遊びの一つだった。 遊びなんてのは、とことんくだらない方が面白い。それを真剣になってやってる事が、後から考えるとまたくだらなく感じて、より一層輝きを増す。
(...こう思うのはだいぶオヤジ化が進行しているからだろう...(笑))


しかし、時間は待ってくれない。

本場が近づくにつれ、僕の焦りはピークに達していた。






『このままでは振付が間に合わない…。』






でも、チームとして楽しい練習もさせたい。

…そう、この『させたい』と言う気持ちが上から目線だったのだ。
大切な仲間だから関係を壊したくない。
だから言いたい事は言わない。
これも仲間に対して失礼なことだった。

まずは、言い合うことが大事だったのだ。

僕は、ダンスに限らず、それまでずっと仲間の重要性を知らずに生きてきたクチだった。
何となく一人でいるより何人かで練習した方が練習も楽しいし、スタジオをレンタルしたら割り勘できる。みたいな感覚が先にあった。MOVERSとして活動する前も、チームを作るなら自分自身が何人もいれば良いのに!と本気で思っていた。

BREAKIN'をやるようになって、個々が持つ力の重要性と、それが組み合わさったときの可能性の広さをやっと知ることが出来た。

ノリが良く、表現力があるメンバー、
素早く華麗にフットワークを踊るメンバー、
手技が得意なメンバー、
スピンが得意なメンバー、
組み技で土台になってみんなを支えるメンバー、
空中技が得意なメンバー、


いろいろな個性が集まってうちのチームは成り立っていた。
もちろん、一矢乱れぬ動きが特徴のチームも素晴らしいと思う。
うちはたまたまそうじゃなかっただけだ。



当時の僕は26歳。
最年少のシラネとヤタが18歳。
確かにジェネレーションギャップはあったかもしれない。
でも、僕はチームの意味をもう一度考え直して、みんなに遠慮せずに自分の気持ちをぶつけて決勝に向けて舵をとった。

みんなも同じ方を向いてくれた。

今思うと、僕のくだらない気遣いが、自分で自分の首を締めていたのだ。
みんなただ真っ直ぐなだけで、だったら僕も真っ直ぐであれば良かった。
ただそれだけのことだった。
FSM集合クール

くだらない遊びが、また自分に何かを教えてくれた瞬間だった。
僕は...、いや、多分全員が、その喜びを噛み締めて練習に励んだ。

...が、この後、チームにとって大変な出来事がおこり、僕らはとても大きな選択を迫られることになる。

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[2011/08/09 11:29 ] | CHRONICLE
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