第十五話(最終回)『残ったもの』
決勝の最終決戦を終えた両チームが舞台に上がり、いよいよ結果発表....。
MCさんの「優勝は.....」と言う重い声....
「.............................」
今までよりも随分とタメの間が長い....。
僕たちはものすごい緊張だった。
全力を出し切ったが、当然、結果は気になる...。
メンバー全員がとにかく祈っていた。
その緊張感を突き破るような叫び声で、
「FULL STOIC MOVERSーーーーーー!!」
同時に割れんばかりの大歓声!!
メンバー全員大興奮だった!!!
このときの感動は本当に大きかった。

リーダーとして、まず僕がトロフィーを受け取り、ヒロキが賞金を受け取った。

もちろん、トロフィーはヒロキが後日おじいちゃんのお墓に持って行った。
おじいちゃんに嬉しい報告出来る!とにかくこれに一番ホッとした。

賞金についてはあまり覚えてないが、確かその数時間後に仲間たちとご飯食べたりしてドンチャン騒ぎで全部消えた(笑)
結局トロフィーも賞金も...形のあるものは特に残ってはいない。
優勝した喜びも、興奮もとてつもなく大きかったが、それも過去の記憶でしかない。
実績としてプロフィールを飾ってはいるが、何年も前のこと....。
知らない人の方が多い色あせた勲章だ。(当然有り難い賞なんだけどね☆)
じゃあ、残ったものは何か?
それは、きっと「感覚」だと思う。
単純に言うと経験かもしれない。
その中で何を感じたか、振り返って今何を感じるか?
だから、「感覚」かな?と思った。
それこそが自分にとって、とても大切な宝です。
苦い優勝ならまた違っていたかもしれない。
嬉しい二位でも今と同じだったかもしれない。
あのメンバーなら優勝しなくても今と同じ感覚かも?と思える。
FULL STOIC MOVERSはその後の闘いでは負けたりしてる。
でも、今も絆みたいなものは確実にある。
幼なじみでも、同じ学校でもない、年齢もバラバラ。
ただ、ダンスをしてたら出逢っただけの「縁」だったが、経験を共有することで「絆」が生まれた。
この「絆」も、僕にとっては宝だ。
「絆」は自体のない物に思いがちだけど.....、実は「形」もあるし、目にも「見える」んだよね。
「チーム活動や闘い」は、僕にそれを与えてくれました。
メンバーと、チームを支えてくれたたくさんの人達に、今でも心から感謝しています。
みんな近くにいるから、こんなの照れくさいけどね~。
でもま~、ありがとう!
SATOSHI
長い思い出話をだらだらと書いてしまいました。
でも、今どうしても書いておきたくて...。
ダンスのスタイルの流行や勝敗の基準、楽しみ方や在り方。
時間が経てば、時代とともに変化してしまうものは多い。
その中で色あせないものは、「結果だけではなく、そこに至るまでの経験から生まれる『何か』が、必ずある」ということ。それを感じたときこそ、人それぞれの「宝」見えるんじゃないかな?
無意識だと見落とす場合もあるから、今を大切に、チームメイトや更にその近くにある何かを見る必要があると改めて感じます。
お付き合いありがとうございました。
おしまい ♪